牧草地で草をはみ 人畜無害に時を過ごしている
空気中に伝わるほのかな不安を唯一の気がかりとして
気をつけたほうがいいぜ
どこかに犬たちが潜んでいる
俺は昔ヨルダン川を見渡して思ったもんだ
事物は目に見えるままじゃないかもしれない、と
危険がないふりをしたって何が手に入るわけでもない
大人しく指導者に従い
大勢で踏み固められた通路を直進し鋼鉄の谷間へと
なんてこった!
おまえの目に浮かぶ究極の衝撃
事物は今や 現に見たまんま
これは悪夢なんかじゃない 現実だ
神ハ我ガ羊飼イニシテ、我ヲ欺クコトナドアリエヌ。
神ハ我ヲ緑ノ牧場ヨリ静寂ノ水辺ニ導ク。
ギラリ一閃ナイフニテ我ガ魂ヲ肉体ヨリ解キ放チ、
我ヲイト高キ場所ヘト引キアゲ吊ルシタモウ。
神ハ偉大ナチカラノ持主ニシテ偉大ナ空腹ノ持主ユエ、
我ヲラム・カツレツニ変貌セシメル。
ソノ日来タレバ、我等卑シキ者ドモ、
沈思黙考ト大イナル献身ヲモテ、空手ノ極意ヲ身ニツケン。
サレバ我等立チ上ガリ、
嫌ッタラシイ社会ノゴミ野郎ドモノ目ヲバ恐怖ノ涙デミタソウゾ、イザ──
メーメーバブーバブー
意味不明にわめきながら皆で奴の首に襲いかかれ
発狂した復讐者たちの波状攻撃
幻想の中へと楽しげに行進する顔のない群集の──
ニュースを聞いたか? 犬どもは全滅だってよ!
おまえさんも言われたとおり 家でじっとしてた方がいい
さあ沿道から立ち去れ! 安逸な老後を願うならば!──
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