思い通りにならない“言葉”に彼は苛立つ。自分の“言葉”に納得できない。同じ曲の中の「Truth is a feeling / But It's not a sound」というくだりは、なんだかブルース・リーの「Don't think!FEEEEL!」という映画のセリフを彷彿とさせる。
言葉なんかいらない、と彼は言う。言葉が自分に逆らっている、と彼は言う。しかし、一体どの“言葉”が?
これは単なる形而上の問答なんかではない。幸いなことに、“声”は実在するからである。彼は“声”をもって言葉に挑戦しているのだ。
「We Are Time」の中でも同じ挑戦がくり返される。言葉を殺せ。ブラック・レター(新聞活字)は嘘をつく。あんたたちの世界はその嘘の上に成り立っている、と。それを伝える彼だって、彼の“言葉”を駆使している。ただ彼の“言葉”は、“声”が本来の位置から外れることの中にしか存在しない。それが彼の伝える「feeling」だ。