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長い道のりだったね
きみがみすぼらしい洟たれ小僧だった頃から
おれはきみを知っている
きみは見事に出世したもんだ
思い出すよ いつもちっぽけな楽しみが
きみを幸せな気持ちにしたもんだ
おれはそのことを知ってるんだよ
今 きみは思ってる
自分は歳を重ねた分だけ賢くなったと
そして思う
結局金で買えないものなんかないんだと
また思う
自分を導いてくれる奴なんかお呼びじゃないと
だけどきみは いまだにたどり着けないでいる
帰るはずの家に
長い道のりを来たのね
今のあなたは自信満々で
わざとイカれた衣装に身を包んだりして
でも 私が誰だかわからないでしょう
私はね
あなたの探し物が見つかればいいと思う
車であれ 特注のオーバーコートであれ
でも 財産がどれだけふくれあがっても
あなたは少しも強くなんかなれないわ
なぜならあなたは
いまだに家に帰れないでいる
そう あなたは今も
遠い家路を歩いている──
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