Celluloid Heroes
(Raymond.D.Davies)




    誰もが夢を見る
    誰もがスター
    誰もが映画の中にいて
    君のことなんて気にもとめない
    スターはどの町にもいる
    どの通りにも どの家の中にも
    ハリウッド大通りを歩いてごらん
    彼らの名が コンクリートに刻まれている

    その通りを歩くなら
    グレタ・ガルボを踏んづけないように
    彼女はひどくもろい壊れもの
    だからこそ強くなろうとしたんだけど
    そんな彼女を人々は王妃に仕立て上げ
    無理やり玉座に座らせた
    だけど彼女は一人になりたかったから
    スターダムに背を向けたのさ

ハリウッド大通りを歩けば あらゆるスターに会うことができる
一目で気がつくスターもいれば 聞いたことさえない名前の者も
名声を求め 汗を流し 苦しみもがいた人間たち
ある者は成功し ある者は徒労に終わった

   いまでも精気みなぎる ルドルフ・ヴァレンティノ
   彼は女たちのドレスを見上げるが
   みんな悲しげに通り過ぎるだけ
   ベラ・ルゴーシは踏まないように
   吸血鬼だから振り向きざまに噛みつくよ
   でもベティ・デイヴィスには近寄ってあげて
   だって彼女の人生はあまりに寂しいものだった

   たとえゴミを散らかされても
   ジョージ・サンダースには依然気品があるね
   ミッキー・ルーニーは踏んづけても
   やっぱりくるっと回って微笑むんだろうね
   でもどうか
   あの一番愛しいマリリンだけは踏まないで
   彼女はタフじゃない
   鋼か鉄で作られているべきだったのに
   生身の肉と血しか持っていなかったんだ

ハリウッド大通りを歩けば あらゆるスターに会うことができる
一目で気がつくスターもいれば 聞いたことさえない名前の者も
名声を求め 汗を流し 苦しみもがいた人間たち
ある者は成功し ある者は徒労に終わった

    誰もが夢を見る
    誰もがスター
    誰もがショー・ビジネスの中にいて
    他人のことなんて気にもとめない
    そして成功を手に入れた者たちは
    いつも油断を怠らない
    ハリウッド大通りでは
    成功と失敗は手をつないで歩くものだから


ああ 人生が
終わることのないハリウッド映画だったなら
悪漢と英雄たちの織り成す セルロイドのおとぎ話だったなら
だってセルロイドの英雄たちは 痛みなんて感じない
そしてセルロイドの英雄たちは 現実に死ぬことはない

ああ 彼らは僕の痛みなど感じない
    彼らは決して死ぬことはない
人生が 終わることのないハリウッド映画だったなら
悪漢と英雄たちの織り成す セルロイドのおとぎ話だったなら
だってセルロイドの英雄たちは 痛みなんて感じない
そしてセルロイドの英雄たちは 現実に死ぬことはない.







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