Some Mother's Son
(Raymond.D.Davies)




一人の若者が平原に横たわっている
今日 ある者がある母親の息子を殺したのだ
ある兵士の銃が 彼の頭を吹き飛ばしたのだ
すべての母親は息子の帰りを待っているが
今日 ある母親の息子が戻る可能性は消えた
また 別のある母親の息子には 墓さえもない

塹壕で戦っている 二人の兵士
一人が 日の光を見ようと頭を上げた
幼い日々の遊びの思い出が 夢のようによみがえる
その時 もう一人の兵士が彼の名を叫んだ
彼は夢を断ち切られ 戦友の呼んだ方を振り向く
次の瞬間 彼は死んでいた

一人の若者が平原に横たわっている
両親は彼の写真を額縁に飾っている
他人の目には戦没者の写真など似たり寄ったりだが
親というものは ひたすら信じて待つものだ
我が子は元気よく学校から帰ってくるのだと
だがある母親の息子は もう動かない

どこかで 誰かが泣いている
別の誰かは 可能な限り勇敢であろうとしている
すべての子どもたちが狩り出され 消え去っても
地球という この星は回り続ける

一人の若者が平原に横たわっている
だが彼の母親にとって 息子はいつまでも変わらない
彼が家を出たその日から
壁には彼の写真が掛かっている
両親はその額縁に花を添えた
ある母親の記憶の中で
若者は永遠に生きる






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