弱い文明

私たちと　彼らと
誰もがとどのつまりは　ただの人間
私が私で　あなたがあなたであったのは
誰も選んでそうしたことではない

突撃せよと　後方から命じられ
前線部隊は全滅した
将軍は腰かけ　作戦指揮図の上には
次なる戦列が補充された

黒　そして青
どちらがどちらで　誰が誰なのか
戦果が上がった？　また下がった？
いつのまにか　同じところを堂々巡り
ぐるぐる　ぐるぐると──

聞かなかったのか？戦いのスローガンを
ポスターを貼りながら　がなっていた
“若人よ　君の居場所はここにある”と
銃を持った男の絵が呼びかける

重く　損われた世界
救いに関する言葉は無数にあるが　救いだけがない
何に拠って　あるいは拠らずして
それこそが争いの原因だということを否定できるのだろう

忙しい毎日に　そんな考えは邪魔だよね
だけど僕には　心をとらえて離さないことがある
わずかなパンと紅茶を乞い願いながら
叶わず死んでいった　老人のこと──