H.






通り抜けて来るものは生命
掲げられているものは鏡
だけど歌を歌っているのは蛇
見守る魔法は小便をワインに変える
ともに憎しみの全き虚空
同じように俺をしびれさせる
蛇は背後からシューシューささやく
俺の受けたダメージが
下手をすればたどっただろう有様を
眼前に浮かぶ俺の血は
もう一度心臓を切開してくれと懇願する
またしても嵐のように こいつは襲いかかってくる
熟慮の末の慈悲のように

毒腺を持つ声が 俺を誘惑し 体液を抜き取り
出血させ ひび割れ・からっぽになった俺を放置し
甘くとろける重力のように引きずり倒す
蛇は背後からシューシューささやく
俺の受けたダメージが
下手をすればたどっただろう有様を
眼前に浮かぶ俺の血は
もう一度心臓を切開してくれと懇願する
またしても嵐のように こいつは襲いかかってくる
またしても嵐のように こいつは襲いかかってくる

俺は あまりにも深くおまえとつながっていて
死に果てることも 消え去ることもできない
幾日が過ぎても おまえは依然として俺をまさぐり
俺を変化させようとしている
 そして
思いやりをもって 殺そうと・・・・

嵐の下に立つ 皮膚を失ったこの身
こぼれる涙の下に 崩落する壁
溺れ死ぬ蛇 その目を見つめるとき
すべての記憶を呼び覚ましながら 恐れは溶けていく
その時 俺は泣いたのか
いや 泣くべきだったのか
壁が崩れるとき おまえの目をのぞきこむ
すべての記憶を呼び覚ましながら 恐れは溶けていく
俺は死んだし これからも死ぬだろう
いいとも それでいいんだ
俺はかまわない
かまわないんだ

あまりにも深くおまえとつながっていて
死に果てることも 消え去ることもできない
幾日が過ぎようと おまえは依然として俺をまさぐり
俺を変化させようとしている そして
思いやりをもって 殺そうと
思いやりをもって 殺そうと








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